立川 先日は、本当にありがとうございました。もともと人生の楽しさに気づくためのセラピーの開発、ツアーの企画などをさせていただいていて、国内外問わずこれまで色々なところを旅してきました。3年前に初めてジープ島に滞在したとき、みんなの目の輝きが変わったのを覚えています。都会では感じられない自然の雄大さを全身で感じました。どんなに遊んでも、何をしていても、大自然は美しく包みこんでくれる。誰の目も気にせず、丸ごとのありのまんまの自分を表現していいんだと、みんなが感動していたんですよ。

ジープ島と出会ったとき、旅は終わったと思った。

吉田 何よりもジープ島は、圧倒的に美しい。僕は、約20年かけて世界中の海を回ったけど、ジープに出会ったとき、自分の旅はここで終わりだと思った。だから、東京での「欲しいものが何でもすぐに手に入る生活」をきっぱり止めて、ジープ島に一人で移り住んだんです。最初のころは、雨水で飢えをしのいだこともあった。これまでのブランド品で身をかためて、いい車に乗って、朝まで飲み歩いていた自分に嫌気がさして、自責の念にさいなまれ続けた。けれど3年半、とにかくそこでの生活を続けた。そうしたら、自分のやるべきことが見えてきたんです。

立川 それが、大人はもちろんのこと、心に傷や悲しみをかかえる子どもたちを、ジープ島に招待することなどの、さまざまな活動だったんですね。

吉田 誰もやらないなら、自分がやるしかない。先頭に立って走る旗手が必要だと思ったんです。だから、「世界海洋ボランティア協会」を設立し、活動に賛同してくださる方の力を借りて、何らかの事情があって親と離れて暮らさなければならない子どもたちを、このジープ島へ招待することを続けています。

立川 とてもすばらしいと思います。まずは立ち上がることから。私たちは大人だから、自分の意思でジープ島をまた訪れることができる。でも、親のいない子どもたちは、自分ではどうすることもできないですから。だから、早い時期にサポートの手を差し伸べることはとても重要だと思います。私も、実際にジープ島に自分の足で立ってみて、この島の美しい景色を知って生きていくのと、知らずに生きていくのでは、人生が大きく変わっていくだろうと 感じました。自然の雄大さをひとたび経験すれば、その雄大さはこころの中でいつも生きてくれます。それが人生の支えや、糧になっていきますから。だから多くの人に、日常に埋もれることなく「地球が遊び場である」ということを、いつも思い出して欲しい と思っています。島に滞在した子供たちも、滞在をとおして大きな変化があったのではないですか?

吉田 子どもたちはみんな、別人のように変わりましたよ。表情も行動も。ずっと寝坊ばかりしていた子どもが、いちばんに起きるようになる。なぜ、これまで寝坊だったかとい言えば、起きても面白いことがなかったからです。でも、ジープ島に来ると、寝ているのがもったいないほど、いろいろな楽しいことが待ち受けている。自然はもちろん、人の存在も身近に感じられる。だから一生懸命楽しもう、生きようと変わっていくのだと思います。

立川 大人の私たちでも、ジープ島に行く前後で、大きく変わりました。迷っていることがあったら、とにかく一歩足を踏み出してみよう、毎日をもっと大切に生きようと思えるようになったという声も届いています。そして「楽しく生きる」ことに、積極的な許可が出せたんだと思います。大自然の美しさは、自分にかけているストッパーを無理なく外してくれますね。

吉田 何度も言うようですが、ジープ島の自然は本当に美しい。その美しい景色を見ながら、悪いことを考える人は誰もいません。この景色を、自分の両親や子ども、パートナー、友人に見せてあげたいと、きっと思うことでしょう。そこには、誰かを思う“愛”の感情が、自ずと生まれてきます。それに、絶対的に美しい自然の前では、どんなに着飾っても意味がない。普段の名刺の肩書なども、何の意味も持ちません。つまり、人も自然体になるしかない。そのときに、本当の自分が見えてくるのです。

立川 そうですね。美しい自然の前にいるだけで、純粋な愛に立ち戻 ることができる。何も飾らない素直な自分になります。私たちは いかに普段から不要なものを、どれだけ大事に握りしめているのか、考えさせられますね。情報やモノに溢れかえった日本は、そろそろ変わっていかなければいけないという思いを強く持ちました。そのときに、必要なのは自然に触れることや、あるがままの自分の原点に戻っていくこと。そしてもっと大人は無邪気にホンキで遊ぶこと!(笑)そしていらないものをひとつずつ削いでいく。それがとても大切なことだと思うのです。

モノを捨てて鳥のように輝いてほしい

吉田 今の日本のみなさんに伝えたいのは、モノを手放しなさいということ。できるだけ最小限で、簡潔な方が、精神がすっきりします。モノに心をとらわれていると、精神も落ち着きません。モノに心が支配されてしまう。できるだけ、モノを持たず、身近に自然がある方が、人も自然体に生きられる。これは3年半の無人島生活を通して、強く実感したことです。 たとえば、鳥は何も持たずに、空を悠々と飛んでいる。魚だって何も持たずに、水の中をいきいきと泳ぎ回っていますよね。

立川 はい。本当の然るべき姿、自然体とはそういうことだと思います。今の日本には、モノであったり、考え方、肩書き、さまざまな荷物が多すぎると思います。本人さえ気づいていない大きな荷物を抱えていることだってある。その荷物が悩みを生むのですが、そういう人たちが、自然体で自分らしく生きていくためには、どうすればいいのでしょう?まず、何から始めたらいいと考えますか?

吉田 あまり難しく考えずに、夜、静かなときにおいしいお茶でも飲みながら、自分は、本当はどうなりたいのか、自分にたずねながら“自分の理想像”を思い描いてみるといいと思います。こうなりたいというイメージができてくると、自然となれるかもしれない……いや、なれる!というふうに気持ちが変わっていく。 たとえば、「世界の困っている人を助けてあげたい」という理想像を思い描いたなら、翌日、電車に乗ったとき、立っているお年寄りに席を譲る。そういう行動に、一歩踏み出してみる。小さな行動でいい。そんな小さな行動を一つずつ積み重ねていけば、「こんな自分が嫌いだな」と思っていたのが、だんだんと「自分にもいいところがあるな」と思えるように変わっていく。 人は、実現できないことは、できるとは思わない。理想像を思い描いた時点で、そうなれる可能性があるということなのです。

立川 なるほど。ありがとうございます。ちいさくても思い描くことからの一歩ですね。その「こうなりたい という理想像が、自分自身でみつけにくいときや、次の一歩を踏み出すときには、ぜひ 現世療法やカラーキューブセラピーで、サポートしていきたいですね。

吉田 それはとてもいいことだと思います。そうやって、誰かがサポートしていくことがとても重要だと思います。今、日本は自殺者が年間3万人を越えている。この状況を早くなんとかしなければならない。先ほど、なりたい自分の理想像を想像してみると言いましたが、もし、理想像が分からないときは、自分が今、したいことでいい。“したいこと”なら、誰でもわかります。たとえば、あのお店のケーキが食べたいとか、あのワインが飲みたいとか、そんな小さなことでいい。その“したいこと”を躊躇せずにやってみる。ワインが飲みたかったのなら、そのワインを一滴残らず飲み干してみる。結局、“したいこと”を積み重ねていった自分が、“なりたかった自分”なのだから。“したいこと”は迷わず、本気でやってみることが大切だと思いますね。  あとは自然に触れること。先ほども言いましたが、美しい自然を前にすると、人は自然体になれる。公園でもいい。部屋に観葉植物や花を置くだけでもいい。

立川 なるほど、おっしゃるとおりだと思います。私は海が大好きなんですが、眺めるだけで気持ちが晴れます。潜れば、こころは無になっていく。そこにイルカがいれば、彼らの在り方から生き方を教えてもらう。やはり積極的に自然に触れるようにすれば、何をせずとも心は開くし、どんな迷いだって少なくなっていくと思います。 今の日本は、自分自身が迷子になっている人が非常に多いのです。たとえば、ニュース、溢れる情報、親からいわれたこと、誰かにこう言われた、こう言っていた…など。もちろん情報も大事ですが、まずは自分の声を聞く。何を感じている?いやなのか?そうじゃないのか?心から湧き上がる自然な声を聞いてほしい。 そのためにも、吉田さんがおっしゃるように “したいこと”を、普段から大切にして、優先順位を高めてそれを選べばいい。そうすれば、少しずつでも自分らしさを取り戻せると思っています。 最後に、これからの吉田さんの“したいこと”をお聞かせください。

吉田 日本の子どもたちはもちろん、これからは世界中の子どもたちもジープ島に招待できるようにしていきたいですね。
あとは、日本国内に、子どもたちが森や川などの自然に触れられる宿泊施設をつくりたい。美しい自然に触れて、おいしいものを食べて、思いっきり遊んで、人生の楽しさに子どもたちが気づけるような場所を。そんな宿泊施設を全国に増やしていき、ジープ島をリンクさせて、何か面白いことができたらと思っています。

立川 わあ!面白そう!!そのときに何か出来ることがあれば、お手伝いさせてくださいね。私自身も、これから次の世代の子供たちに何が残せるのか?もっと具体的に考えていきますね。 なにより、大人も子供も人生の楽しさや面白さにもっと気づいてもらいたいですね。地球はみんなの遊び場ですから!  また、遊び心ひとつスーツケースに詰めて、私の大好きな人たちと遊びに行きますね。ジープ島の大自然の中で、みんなの突きぬけた笑顔や、リミッターが外れた姿を想像するだけで、今からカオがにやけちゃう!(笑)今日は、本当にありがとうございました!